熱帯観葉植物の案内所

様々ある観葉植物。これから育て始める方、今育てている方、植物の世界に住む皆様に、私の経験をもとに植物たちを紹介いたします!

植物の冬の生理機能

みなさんこんにちは!


早く暖かくなってほしいですね。(早いわ)

冬に向けて体にたくさんの脂肪を蓄えているところです。太ったのではないのです、冬を越すためには仕方がないのですwww


動物は消費できなかったカロリーは皮下脂肪として蓄えられる便利な機能が付いているのです。


こんな便利な機能、使わなきゃ損ではないですか。


植物なんて、余分なカロリーは垂れ流しですよ。もったいないでーす( ´・‿・`)


え?言い訳やめろって??


はい!!痩せマーーース!!




さて、この茶番には訳があるのです。

確かに私、太りましたw

痩せなくてはいけませんw


先程、植物は余分なカロリーは垂れ流しと言いましたが、うちのパキラが垂れ流しているところを見つけたので写真に撮りました。


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絶賛垂れ流し中。


この水滴です!

霧吹きや湿気ではなく、これはパキラから出たものです。


これなんだと思います?????






実はこれ、糖なんです!!


触るとオイルのようにぬるっとしています。


最初は真上のエアコンから油が落ちてきた?

とか、霧吹きした水滴がまだ乾かないのか?などと思ってました。




では、なんで糖なんて出てくるんだ?って感じですよね。


冬になると、植物は休眠のために動きを止める or 鈍らせます。


しかし、光合成は続き、一定量の糖ができます。

これまでは、成長にあたり、作られた糖が効率よく消費されてきましたが、冬は余分な糖が発生するのです。


これが、茎の部分から分泌されてくるのです。

植物は皮下脂肪を作らないので、細胞の液胞に貯蔵するか、外に出すしかないのです。


よく見ると、パキラは、まだ若い緑の茎で新芽に近いところからよく分泌します。

古くて硬い枝からは出てきません。


おそらく樹皮が未発達なせいで柔らかく、液が分泌しやすいのでしょう。



実はこれ、自然界でもよく見られる現象です。

夏になると、クヌギやコナラに樹液が分泌し、虫が集まりますね。

木の表面に虫が傷をつけると、糖液が分泌します。出てきた糖液が発酵すると、よく森で虫が集まる琥珀色の液体になるのです。


今回パキラで見られたこの糖液は、これと同じ。樹液です。


家で育てていると、埃がたまってカビが生えたり、汚くなったりするので、これは見つけ次第拭き取るか、シャワーで流してやりましょう。




さて、今クヌギやコナラの話を出しました。

あれ??虫が森に集まってチューチューやってるのって真夏じゃね??


今パキラから出ているのは冬でしょ??


こんな矛盾が生じます。



じつは一年を通して糖は身体中を巡っています。

根っこから導管を通って巡り、逆経路の師管を通って巡り、全身を循環するのです。


冬のパキラの場合、成長の低下により、細胞に貯められた糖液がいっぱいになり、若い枝が裂けて出てくるのがメカニズムです。


南国では冬がなく、寒さで成長を止める必要がないので、このように外に分泌してしまうと思われます。



一方クヌギやコナラは、冬には落葉をして葉を落とします。なので冬には光合成をせず、葉が落ちる前に溜め込んだ糖を少しずつ使って冬を凌ぎます。


葉を落とすと、植物体内の循環の流れが変わります。

暖かい季節は、毛細血管のように葉や枝の隅々まで管が張り巡らされて、全身を循環していました。


落葉後は、枝の手前までしか栄養成分が循環せず、流動量が減り内圧も上がりません。

しかも樹皮が硬く、新芽も木化するのが早いですよね。


よって、クヌギやコナラはパキラのように冬に樹液が出ることがないのです。

ただ、傷をつければ、両者とも樹液として糖液を出すと思われます。


南国の植物と、日本の植物でこんなに生理機能が違うのですね。

奥が深い植物の環境適応能力です。



いろんな植物を育てていると、いろんな現象が見られて楽しいですね。

それではまた!

See You Next time!