熱帯観葉植物の案内所

様々ある観葉植物。これから育て始める方、今育てている方、植物の世界に住む皆様に、私の経験をもとに植物たちを紹介いたします!

植物の栄養取り込みについて

植物紹介から趣向をずらし、ちょっと科学のお話をしようと思います。


現在の園芸家をやる前は、私は某国立研究所の生物学者で、専門は微生物と植物の研究をしていました。


学問的には、微生物と植物学は大きく離れていていましたが、

園芸は両者が密接に関わっています!


微生物も動物も植物もみんな力を合わせてバランスをとって、生命の循環がなされている。

そう考えると、生き物すべてが愛おしく思えます。

ミミズも、オケラも、アメンボもみんな自然界でなくてはならない存在です。




さて、あまり脱線すると帰ってこれなくなるので、本題に!


植物を育てる上で気にしなくてはいけないのは、

・水

・栄養

・土の状態

・空気

ざっとこんな感じですかね?


人間に置き換えると

・水  これは必須ですね。

・ご飯  生きがいですね!

・家   家は必要です!

・空気 淀んだ空気だは病気になります


植物を鉢で育てるのは、とても不自然なことです。仕方ないですがw

そのため、園芸愛好家は、植物にとってベストな環境を作らなくてはいけないですね!




本文の趣旨は、植物の栄養取り込み機構です。


ご存知の通り、養分はほとんどは根っこから取り入れます。

土の中に根を伸ばし、広い範囲から土に含まれる養分を吸収します。


では、栄養とはなんなんですかね??


ざっくりと言う栄養とは、有機酸・窒素・リン酸・カリウム・カルシウム・マグネシウムなど。



フンや死骸、落ち葉などが発酵することで、自然と有機肥料ができます。



体はタンパク質なので、分解されるとアミノ酸になります。

骨なんかはカルシウム分になり、タンパク質が腐敗するとアンモニアになって窒素分になります。


この分解を行うのが微生物たちです。

まずカビやキノコなどが大雑把に分解を進め、その後さらに小さい細菌たちが細かく分解します。

ご飯を食べた微生物は土の中で増え、分解された物質は植物の栄養になります。


微生物がしっかり育った土は団粒構造が保たれてフカフカで、水はけもよく、根を張りやすいです。


カフカで土に空気が含まれると、微生物も根っこも呼吸がしやすく、よく育ってくれます。

ミミズ、ヤスデダンゴムシ、ワラジ虫なんかがいると、さらにフカフカになりますね!


さて、以前のブログで有機肥料を与えた方が良いと記載しましたが、化成肥料を与え続けると微生物のご飯がなくて増えられず、土の微生物のバランスが崩れます。


すると、悪い土になって粘土のようなぺたぺたした固い土になります。


水はけも悪く、硬いため、根も張りづらく、根腐れしやすくなります。

観葉植物の場合、鉢の土が固くて粘土質の場合、すぐに新しい土に取り替えた方が良いです。





あとは、その土地にどんか化合物が多くふくまれるかよって、生育が左右されます。


日本の土は割と腐葉土質なので、弱酸性に偏っています。酸性用土は、花や実をつけるのに好条件なので、日本にはさまざまな植物がいますね!

よく植え込みに皐月を植えてますが、アスファルトに近い部分は枯れていることがあります。これは、アスファルトに含まれる石灰が土に溶け出して、pHがアルカリ寄りになるからです。



イタリアなんかは、石灰が多い土なので、アルカリ寄りです。テラコッタの鉢はイタリア産が多いです。

赤土のテラコッタは、しばらくすると白い粉のようなものが析出しますが、これは石灰です。

イタリアはオリーブが有名ですが、アルカリ寄りの土が好きなオリーブはテラコッタに植えてやると、環境が整い、おしゃれに育てられます。




以上のように、植物の根圏を取り巻く土はとても大切なんです!

根っこをたくさん伸ばして、たくさん栄養を取り込むのです。


最後に、根っこからどうやって栄養を取り込むのが、その仕組みをお話ししたいと思います。


根っこを細かく見ていくと、細胞がたくさんあります。

細胞には自動ドアみたいなものがあるんです。

それぞれに役割があり、専門の自動ドアなんです。

窒素だけを取り込む自動ドア。

カリウムだけを取り込む自動ドアなど。


目の前に栄養素があると、ドアが開き、細胞の中に取り込むのです。

よくできていて、ナトリウムの自動ドアは、カリウムが来ても開かないのです。


こんな便利なドアを使って体の中に栄養素を取り込んでいるのです。



さてさてさて、全然違う話になりますが、人が水の代わりに、海水を飲み続けるとどうなると思いますか?


答えは、脱水になってしまうのです!


これは、浸透圧が関わります。


細胞の中と外の濃度に差ができると、濃度が濃い方に水が送られます。


では、土の中にたくさーーん肥料を与えてしまうと??

吸収できずに残った肥料成分が根の細胞の外

に存在して濃度に差ができます。


すると、根の水分がどんどん外に出されてしまうのです。

水をやっても、根に水が保持できず、死んでしまいます。

これが肥料焼けです!


根がダメになり、結局水も、栄養も植物体に送られず、枯れてしまうのです。


なので、肥料は容量を守って与える必要があるのです。

過剰にあたえるのはNGです!




はいーー、以上が根っこの仕組みでした。


植物の育て方って、方法は確立されていても、根拠がわからないものなのでどうも理解しづらくないですか??


そこで、科学的な根拠を理解することで、応用が利き、これ以上ミスすることが少なくなると思います。


園芸を通して、科学を世の中に広める。

これが私が園芸家になった理由です。


また、いつかこんなお話ができればと思っております!


それではまた!!

See You Next Time!!